今でも基本的なコンセプトは変わっていないGR
GR1が1996年に発売されて以来、2019年にデジタル版のGRⅢが発売するまでの長い間、基本的なコンセプトは変わっていません。
それは、高画質と携帯性を両立させた最強のスナップシューターであること。
RICOHの公式サイトを見ると、デジタル化による若干のデザインの違い以外、ほとんどその姿形は変わっていません。
1980年台から主流となってきた曲線を多用した所謂「一眼レフ」がミラーレス化の流れに押されて、デザインが変わりつつあったり、クラシックカメラに回帰し始めた現在において、これだけ息の長いカメラは本当に稀有だと思います。
私がGR1sを手に入れたのは、フィルムカメラへの懐古趣味というか、コンタックスT2が高くて買えないからというか、ある程度の価格で映りの良いコンパクトフィルムカメラが手に入れば良いという考えで、オークションで落札したのがきっかけです。
私は割とコンパクトカメラが好きで、フィルムカメラであればそんなに値段も高くなく、レンズ付きボディーくらいの感覚で買ってしまうことも多いのですが、GR1sについては良い意味で期待を裏切られました。
現代において人気のある高級コンパクトカメラといえば、チタン製のボディを採用したり、極限まで小さくしたりとluxuryを優先するあまり、道具としてのカメラとしてはなかなか使いにくい…気を使ってしまうカメラが多いような気がします。
ボディーについてはチタン製と同等の強度を持つことを謳うマグネシウムダイキャスト製。
すごく個人的な意見を言えば、私のような貧乏人にはチタン製はなじまない(笑)
コンタックスのTVSを持っていて、気にはいっているのだけれども、チタンという高級金属に今まで触れてこなかったせいか、手に触れるたびに今まで触れたことのない違和感というか、そんなものを感じます。
手触りとか熱伝導率の違いでしょうかね。
話は変わりますが、登山用品もやはり高級製品はチタン製が主流となっており、マグカップを購入してみたものの上述の違和感を感じて、アルミ製に戻しました。
その点で、GR1sは手に持った時にどことない安心感があります。
GRシリーズとして変えていないもの
GRシリーズは安易なカタログスペックでの競争は避け、安易なモデルチェンジをしないというコンセプトがあるそうです。
目立たせるだけのデザインは採用せず、機能に裏づけられた形こそ、長く使える道具として残っていくものとして、GRとしてのデザインになっいるとのこと。
GR1のレンズ性能は当時でも高性能で後にライカマウント用レンズとして発売されている。
そこから「素人のライカユーザーは純正ライカレンズしか認めない」→「ライカレンズを使ったうえで非純正レンズ(しかもかなり写る)に見識のある私、玄人」→「ライカ持ち出すの気を使うし、写り同じなら普通にGR使えばよくない?」
といった感じで、RICHOはライカユーザーという私からすれば難攻不落のユーザーをファンに引き入れることに成功したそうです。
そんな経緯もありつつ、私から思うにGR1sは写りすぎる。リバーサルをいれて撮ると最近のデジカメと見分けがつかないほどよく写ります。
カラーネガについても然り。写りにノスタルジックさというか、そういうものはあまりない気がします。
おそらく、コンタックスT2が人気なのはその箇体の高級感と、コーティングからくる写真の色味が特徴的だからであって、そこから比べると少しそっけない写りをするのは事実だと思います。
単焦点28mmのコンセプトは今でも変えておらず、数年おきにGRシリーズが発売されるたびにちょっとした話題になっているのを見ると、やはり今でもこだわった高性能なレンズを搭載しているんだろうなぁと思いを馳せる次第です。
それでも手持ちのコンパクトフィルムカメラの中ではGRが一番好き
あまり、高価なカメラには今のところ手を出していませんが、一眼レフを含めて持った時の剛性感はGRが随一です。
ローライとかコンタックスのTVS、その他のコンパクトフィルムカメラと比べるとGR1sは質実剛健! その時代のカメラがいかに贅を尽くして付加価値をつけるかに腐心していたところ、GRはあくまで写真を撮るという行為の一点で勝負しているように感じます。
サイズ自体はiPhoneよりも小さく(厚みはありますが)、ポケットに入れていても苦になりません。
そのうえ、見るからに頑丈、というかポケットに入れていても壊れないであろう安心感があるので、とりあえず鞄に忍ばせたり、コートのポケットに入れて持ち運ぶことができます。
風景撮影など気合を入れて持ち出すときは、フルサイズのデジタルカメラを持ち出すのですが、普段何でもないときに持ち歩いてる人って少ないですよね?
フィルムの一眼レフもデジタルと比較すると小さくて最初は感動したのですが、やっぱりミラーやレンズの出っ張りがある分、ちょっと気を使ってしまいます。
それにカメラが大きくなればなるほど、撮影対象が構えてしまって日常を記録するの用途に向かなくなってしまうのではと思っています。
その点、GR1sはすべてを全てをクリアしていて、普段持ち歩く分には申し分ない。黒いから目立たないですし(笑)
デジタルでは普段、ソニーのRX100を持ち歩くのですが、あちらは1インチセンサー。
剛性感もあるのですが、ソニーってだけでなんか気を使うんですよね…家電の延長っていうか。
GRのデジタルも検討したのですが、ファインダーがない。(私にノーファインダーで撮るほどの技術がないのもありますが)
外付けファインダーは余計な出っ張りが増えるから嫌だ!
単焦点、フルサイズ、ファインダーあり、頑丈、小型を満たしたデジカメって存在しないんですかね(笑)
この際手振れ補正なくてもいいので!
ミラーレスカメラの進歩は著しいので、いつか出るかもしれませんね!
その時はローライ35のような衝撃をもって受け入れられるでしょう(笑)
歴史は繰り返すのか、単なる代わり種カメラとして受け入れられるのか…おそらく後者でしょうか
GR1sの作例
上の3枚は安定のコダック カラープラス200で撮影しました。
デジタルといわれてもわからないくらいのキレがあります。
下3枚は期限切れのこれで…
10年ものなので、露出を一段プラスに補正し、ISO400として使いました。
ダイアルで露出補正が一瞬で行えるのもGR1sの操作性の良さです。
それでも、期限切れなので描写は若干マイルドに。
現役フィルムと期限切れフィルムの使い分けを行うのも面白いですよね!
他の高級コンパクトに比べて手ごろな値段で手に入るGR。
高級感には欠けますが、「写真を撮る」ということには特化した性能を持つカメラです。
コンタックスとかが高くて手に入らないという方もご検討してみてはいかがでしょうか。