ハーフサイズで一眼レフな「OLYMPUS PEN F」
ハーフサイズカメラとは、135フィルムを半分使用し、18mm × 24mmの大きさで撮影できることからこの名称で呼ばれています。
1959年に初めて、ペンシリーズが発売された当時、カメラのフィルム・本体は高価なものでした。
そこで、フィルムを2倍使用できる経済性、コンパクトさ、カメラボディーの安さを両立したペンシリーズはベストセラーを記録。
また、ペンシリーズは、カメラは男性のものという当時の常識を打ち破り、男性98:女性2であったカメラの購買比率を女性33まで引き上げた画期的なシリーズでもあります。
だんだんとハーフサイズカメラの地位やシェアは上がっていきましたが、あくまでハーフサイズカメラはサブ機としての位置づけ。
しかし、ハーフサイズでも一眼レフをという声が高まり、造られたのがPEN Fシリーズです。
ちなみに、ハーフサイズで一眼レフというカメラは画期的なものでしたが、特許をとりすぎて他社が作れなかったため、全然ブームにはならなかったそうです。
ここら辺のお話は、公式サイトにペンの生みの親である米谷氏のお話が詳しく載っています。
今回購入したのは初代 「PEN F」
ペンF シリーズは 1963年(PEN F)、1966年(PEN FT)、1966年(PEN FV)の三つの種類が発売されています。
初代とFTの一番大きな差異は、「露出計が内蔵されているか、否か」です。
個人的には中古市場でペンFを探していて一番、よく見かけるのはPEN FT でした。
電池を使わない初代機の完動品はなかなか見つからず、しかもFTよりも相場が高め。
FVはFTから露出計を除き、デザインをそのままにした機種。
FVもレアなようで、あまり見ませんでした。(意識して探さなかったからかもしれませんが)
探していて結構気になったのが、FTをFと表記して発売しているショップが結構多かったこと。
デザインが全然違うのですぐに見分けつくと思うのですが…

ネットショップで在庫ありのものを買おうとしても、問い合わせると在庫ないとか言われたり。
そんな中、ヤフオクで動作品のペンFを発見しました。
PEN Fでは、ロータリーシャッターという方式を採用しましたが、スチールの薄板では最高1/60秒しかSSが出なかったそうです。
そこで、当時は珍しい素材であったチタンを採用し、約0.06mm厚のチタン幕を使用することによって1/500秒までのSSを出すことに成功しました。
後継機とは違い、初代PEN Fは2回巻き上げ方式です。
シャッターを切ると「ガコン」とデザインに似合わず、男性的な大きめの音がします。
付属してきたレンズは、F.Zuiko 38mm F1.8です。
今回、中古を探していて、大体カメラに付属しているのがこのレンズでした。
デジタルにおけるフルサイズとAPSの換算のように、このレンズもフルサイズに換算すると55mm相当になります。
ハーフカメラということでミラーは横向きに動きます。
ペンFで撮ってみて
ハーフということで画質の面とかどうなんだろうと心配していましたが、全く問題ありませんでした。
この作例の写真が若干、荒いのはL版プリントした写真を後から撮影して取り込んだからです。
よく考えたら、ハーフ版ってデジタルのAPSと同じようなもんですもんね。
L版程度じゃ、大きく画質が劣化するわけないですよね。
PEN シリーズ唯一の一眼レフということで、一番威力を発揮するのは接写したときでしょうか。
最短撮影距離が35センチのため割と寄れます。
そういえばデジタルでもPEN Fは復刻していますね。
デザインはFTの方が近い印象を受けます。
2倍撮れる経済性から高い人気を誇ったハーフカメラ PENシリーズ
それの特徴と相反して生み出された高価で複雑な機構を持つPENシリーズ唯一の一眼レフ PEN F
デジタルカメラ業界でミーラーレスとして人気を集めるPEN シリーズ
そこから、プレミアムモデルとしてそれまでのPENシリーズとは一線を画して発売されたミラーレスカメラ PEN F
PEN Fはなかなか数奇な運命をたどっているような気もするのですが、私だけでしょうか。