大天井岳について
標高2,922m
日本100高山 標高第30位
日本200名山
ルート① 中房温泉→燕岳→大天井岳
往路:8時間
復路:7~8時間
(燕岳往復は別途1時間)
ルート② 一の沢→常念岳→大天井岳
往路:8時間
復路:6~7時間
(常念往復は別途2時間)
難易度 体力:中級 危険度:大きな危険個所なし
大天井岳は一般的に「大天井岳」のみを目的として登られることが少ない山のように思う。
大体は常念山脈の縦走時の通過点として、または表銀座縦走路の通過点の一つの山として認識されていることが多いのではないだろうか。
しかし、私は常念山脈の山々の中で大天井岳が一番好きだ。
燕岳はきれいな花崗岩質できれいな山であるが、如何せん喧騒が過ぎる。
ハイシーズンの土日に登ろうものなら、数10mおきに渋滞が発生し、テン場では小学生が走り回り、寝ているテントをバンバンと叩かれたこともある。
常念は三俣から前常念を経由するルートは美しかった。しかし、どうしても常念小屋から山頂までの1時間が嫌で仕方がない。
そこのところ大天井は距離的なフィルターがかかるのか、一見さんみたいな登山者はいないし、大天井にいる小学生などは、俗世につかり切ってインスタント食品ばかり食べている私よりもよほど精悍な顔つきをしている。
山頂まで10分足を延ばせば自分が歩いてきた表銀座縦走路や槍の360度のパノラマがみられる。早く来てテントを張れば、燕まで続く稜線にかかるガスを一日中眺めながら、ボーっとするという最高に贅沢な時間の使い方ができる。
大天井の一般的な読み方は「おてんしょう」というらしい。世の中の大天井岳好きに怒られるかもしれないが、私は頑なに「だいてんじょう」と呼んでいる。理由は「おてんしょう」の響きでどうしても「おねしょ」を連想してしまうからだ。
余談だが、私は安曇野の町から見える横通岳をずっと大天井岳だと思っていた。「大天井かっこいいなー」とか思ってたら、実は横通だったのである。
この山こそ名前からして通過点オブ通過点みたいな山なのだが、ぜひ横通を通過するときは山頂に立ち寄ってあげてほしい。特に山頂に何か特別なものがあるわけでもないが、安曇野から見る横通は立派でかっこいい。
いつ日にか、「横通日帰りで行ってきたぜ」とか言って、常念や燕と同列に語られますように…
大天井岳の山行記録

2017年9月下旬、紅葉の大天井岳へ1泊2日の日程で登ってきた。
燕山荘までの行程については、別の記事で書いてあるので参照していただきたい。
燕山荘から大天井岳までは通常のコースタイムで4時間ほどを要する。
燕山荘まで大体4~5時間であるから、大天井岳までは全8時間ほどかかるのが一般的だ。
燕山荘から大天井岳は多少のアップダウンはあるものの危険個所は少なく、体力さえあれば誰でも登ることはできる。

燕~大天井の紅葉は有名というわけではないが、そこそこには楽しめる。
そしてこの時期は、夏も過ぎ昼間でも涼しく登山にはちょうどいい時期である。
紅葉を楽しみながら3時間ほど歩くと喜作のレリーフがある。

拡大されてきた写真ばかり見てきたからか、始めて見た時は「意外と小さいな」と感じた。
表銀座縦走路を切り開いた小林喜作に思いをはせ…たいところだが、ここまでくれば今回のゴール 大天荘はもうすぐ。
テンションが上がってしまって、毎回喜作どころではなくなってしまう。

大天荘はとても清潔感があってきれいな小屋だ。トイレもきれい。
個室もあり6畳+8,000円、9畳+11,500円を支払うことで泊まることができる。
先にも書いたが、大天井は常念、燕に比べて登山者が少し少ない。大天井岳自体に大天荘と大天井ヒュッテがあるため登山者も分散される。
余程のハイシーズンを選ばなければ快適に過ごすことができるだろう。
テン場の張数も多く、早朝出てコースタイム通りに歩ければ、良い場所が確保できる。
夜は食堂にランプが灯され、ワインなどを楽しむことができる。
山小屋とランプはとても親和性が高い。恋人と来ても素敵な時間が過ごせるのであろう。
大天井岳山頂へ
この時期は槍ヶ岳方面に沈む夕日を見ることができる。だから日没直前に行くのがおすすめだ。

大天荘から山頂までは徒歩10分。目をつむっても歩け…はしないが、夕食を食べると日が沈む時間になっている。
ご飯とみそ汁はお替り自由なので、山頂の往復は腹ごなしにちょうどいい。
私は調子に乗ってご飯4杯とみそ汁3杯を飲んだため、かなりキツイ山頂往復になったが…
大天井岳の撮影スポットについて
大天井岳山頂
大天井岳の山頂までは片道10分。薄明時間帯や夜間でもヘッドライトをもっていけば容易に撮影が可能である。
ただし、過去には写真を撮ろうとして足を踏み外し、滑落している人もいると聞いているので絶対に油断は禁物。

山頂からは絶景の槍ヶ岳を見ることができる。
宿泊地から10分でこんなに絶景がみられてよいのかと思ってしまうほどだ。
大天荘テント場
大天荘を出てすぐのテント場。石ころにさえ注意すれば危険個所はない。
ここからも槍ヶ岳を狙える。テント場の立地自体がよいので、テントを絡めた写真を撮ることができる。
東の眼下には安曇野の夜景が広がり、西には槍と穂高。おそらく、この辺のテント場では一番条件が良いのではないだろうか。

